こども嫌いでしたが、こどもに関わる会社始めました。

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ヒマを生き抜く強さを持て  ©1993スチャダラパー 

スチャダラがこれを書いた1993年、調べたら初のデジタル方式携帯電話開始された年でした。

わずか十数年で劇的な進化を遂げた携帯電話の歴史 - NAVER まとめ

 

あれから22年、私達は今、どのくらいのヒマな時間に立ち向かえるだろうか?

スマホもPCもタブレットも触らず、誰とも会わず何もしない時間、どのくらい我慢出来るだろうか?

待ち合わせをした相手が5分経っても現れない時、連絡を取らずに我慢できるのはどれくらい?

 

私達はその時間を「無駄」だとし、それをなるべく減らす為に研究を重ねて昔に比べたら大分減ったその「無駄な時間」、それは何処に行って何になっているか?

 

携帯電話が無かった学生時代、例えば友達と初めての場所で映画を見る為に待ち合わせをする時、どんなことをしていたでしょうか?

  1. 見たい映画が放映されている映画館の中から行きたい場所を決める。
  2. 映画の時間を調べる。
  3. 最寄駅からの行き方を調べてメモを取る。
  4. 二人の待ち合わせ場所を決める。
  5. そこから映画館最寄駅までの行き方を調べる。
  6. かかる時間を考えて、少し余裕を持って待ち合わせ時間を決める。

今思うと面倒くさいこの作業の中で、その友達の知らなかった一面が見えたりもしたし、バラバラな情報源から必要な情報を抜き取るという事を毎日していたんですよね。そしてその友達が待ち合わせ時間を5分過ぎても現れない時、頭はいろんなことを考えて行動いたはずです。

  • もしかして私が時間を間違えたのかとメモを見直す。
  • 相手の性格から判断してどのくらいまで待つべきかを考える。(あの子は几帳面だから滅多に遅れることはない、15分待っても来なかったら何かあったかもしれないから家に電話をしてみようか?など)
  • 電車が遅れていないか調べる。
  • もしかしてもう来ているのではと周りを探してみる。
  •  場所が分かり辛かったかなと目立ちやすい場所に立つ。
  • 何時くらいまでならギリギリ映画に間に合うのか、もう一度時間を計算してみる。
  • 嫌われたのかな?何か怒らすことしたかな?などと不安になって日頃の態度を思い返してみる。

今では考えられない無駄な作業ですが、あの時はこんなにいろいろ考えて相手が登場して、「来たー!」って喜んで、友達を軽く攻めてみたりして、待ち合わせだけでもたくさん話題がありました。

 

無駄な時間から開放され、地図や手帳や本やいろいろな荷物から開放され、覚えること考えることからも開放された私達は、自由になって何をして来たか。

 

明日か明後日あたり、私をたずねて、当院に聞きに参る者があるはずですが、もしその者が見えたときは、宮本は当所の猿沢の池のあたりにわらじを解いているゆえ、あの辺の旅籠の軒を見て歩け、とお伝え願いたいのです。

ー吉川英治「宮本武蔵」よりー

これは武蔵が引き取った弟子の城太郎(おそらく10歳くらい?)と待ち合わせる為のに伝言を頼むシーンなのですが、先ほどよりもかかる時間も想像したり調べる作業もかなり多い。城太郎は数ある旅館の中から、武蔵ならどんなところを選ぶだろうか想像して探します。これは小説ですが、こういう方法しか無い時代なのでこの城太郎が特に凄いという訳ではなく、皆このくらいのことはしていたはずです。

 そもそもこどもに対してこんなアバウトな内容で更に間に人を介したやり取りで約束するなんて、今では恐ろしくて考えられません。何が恐ろしいのか?

誘拐される、交通事故に会う、そんなこと、児童売買も追剥も横行したこの時代、もっと危険が多かったはずです。

  • 相手と合えないかも知れない不安
  • 相手に自分の気持ちが伝わっていないかも知れない不安
  • 相手がそこまで出来るかどうかという不安
  • 相手にもし何かあったらという不安
  • 相手がもしいなくなったらという不安

 

こうした手間や不安からも開放された私達は、効率的に有意義に幸せに暮らしているか?

 

昔より多くなった時間を使って昔より多く人とやり取りを繰り返し、不安を解消する為に確認を繰り返し、失敗をしないように調べて、比べて、へとへとになって、怖い怖いと泣いている。楽しい出来事があっても、そこにいた人全員が楽しいと思っていたか、自分だけじゃないか確認して、他の人はどのくらい楽しそうか確認して、自分と比べてもっと楽しそうならまた怖くなり、もっと楽しそうなことは無いか調べる。

無間地獄。

 

この辺で、そろそろ腹を決める頃なのかも知れません。

ヒマを見つけてヒマを知れ

ヒマを生き抜く強さを持て

ースチャダラパー「ヒマの過ごし方」ー

 これ以上やっても何もない、目の前のヒマや不安に立ち向かわないと。

 

なんて、iphoneが壊れて不安になってる自分に向けての説教でした。