こども嫌いでしたが、こどもに関わる会社始めました。

中国で子供向けエンターテイメントコンテンツを提供する会社をやっています。

-20度の星空

今週のお題「さむい」

 

私は東京出身なので、今まで体験した最低気温はスキー場でのー5度くらいでした。私の夫の出身地は冬ー20度くらいになるところです。初めて行った時、外に出る度鼻の中に何か入ってくると思っていたら、凍った自分の鼻毛でした。食材市場ではそのまま置かれた肉や魚が完全な冷凍になっているし、涙が滲んだ目頭や目尻も凍る極寒の世界に驚きましたが、同時に何もかもがくっきり見えることに驚きました。空気が綺麗だからかなと思ったその夜。初めてその星空を見ました。

 

私が想像していた綺麗な星空よりもっとずっと星が多く、とにかく空の余白が無いほど星で埋め尽くされていて、それらがギラギラと光り、“ロマンチックな星空”なんてものでは無く、とにかく星だらけで気味が悪く不気味でぞっとしました。急に「自分はこんなに多くの星がひしめき合う宇宙の中の、小さい星にいる。」ということを思い知らされた気がして、心細くなり、急に早く明るい街並みが恋しくなりました。いつもの街灯やライトアップされたビルやいろいろなくだらない明かりで、早くこの圧迫感のある星を打ち消して欲しいと思いました。

 

私達の祖先が暗闇で灯りを求めたのは、暗闇ではなくこの星の明るさに耐えられなかったのかも知れません。あの圧迫感のある星達は、昼間見えていた世界の何百倍何千倍、それ以上の世界の中に一人でいるということを私達に思い知らせ、昼間広いと思っていた大地さえ頼りなく感じさせる。こんな広いところに浮かんでいる地球の心細さ、その怖さに耐えられなかったのかも知れません。

 

ここまで印象深かった星空ですが、昨年見たらもう怖いほどではなくなっていました。適度に隙間のある、綺麗な普通の星空でした。空気汚染もここまで来てしまったようです。こうしてまた、人間は怖いものを克服して偉そうになっていくのかも知れません。

 

今いる場所は怖いほどの星空どころか、星が1つも見えない日が多いです。子供達に一時でも満点の星空を味わって欲しくて、会社でポータブルプラネタリウムのイベントをしています。毎回皆大興奮で喜んでくれていますが、やっぱりこれは偽物。いつか本物を見て、全然違う怖いほどの迫力を体験して欲しいと思っています。